春霞かすみそめぬると外山よりやがてたちそふ花の面影―定家

卯月を迎え、東京ではようやく“待花”桜が咲き始めて、春霞に、あたり一面が淡い薄紅色に染まる頃となりましたが、麗しい春の最中はいかがお過ごしですか？
この春の霞が立ちはじめると、たちまち桜の花の面影が添うようになり、風雅な景色を醸し出してくれますが、今週からしばらくは、優美な春霞の中を、艶やかな桜花が彩りを添え、格別の美を演出してくれることでしょうね。

さて、そんな桜花爛漫の中、【由美】はお蔭様で、来週4月11日に“満二十九年”の春を迎えることができましたことと心より感謝申し上げます。

思えば、『由美』での二十九年は、桜花の下、皆様の愛に支えられ見守られながら、いつしか“満二十九年”の時を迎えることができましたが、今年は、来年の三十周年を迎える“プレ周年”ですから、どうか来週は、4月9日～13日と【由美満二十九周年春祭り】へのご来店をお待ち致しております。

そして春風に花びらが儚く舞う惜春の風情を、あなた様とご一緒に眺められますことと楽しみにお待ち申し上げております。　　　

ここで、「吉本興業」“創業百周年記念プロジェクト”の一つ【吉本百年物語】を紹介させていただきますと、この舞台は、4月より1年間“月替わり”で、“吉本100年の歴史”が12本の芝居として上演されますが、美伽さんは、その第1弾となる4月公演「大将と御寮ンさん・二人の夢」に出演し、吉本夫婦の“夢”に融資する“お銀さん”役を演じています。

さて、そんな第1話となる4月公演「大将と御寮ンさん・二人の夢」のあらすじは・・・

通天閣が完成した1912年（明治45年）、芸人道楽が高じて、家業である船場の老舗問屋を倒産させてしまった若夫婦吉本吉兵衛（陣内智則さん）と“せい”（国仲涼子さん）夫妻が無一文でミナミの外れにある小汚い“芸人長屋”に引っ越して来る場面から始まります。

長屋では、落語や軽口、怪力、女道楽など売れない芸人たちに囲まれ、貧しいながらも明るく暮らし始める二人のもとに、ある日、満の寄席小屋「第二文芸館」が売りに出ているとの噂を耳にし、営業権だけで300円という高値に、諦めかける吉兵衛に“せい”は、「芸のことは吉兵衛、商売の事は自分が引き受ける」と提案し、高利貸しの“お銀”に土下座して頼みこみます。

最初は、すげなく断ろうとする“お銀”でしたが「5銭という破格の低料金でも勝算はある」と説得。「安うておもろい“よしもと”」を目指す二人の“本気”に、お金を貸すことになり、やがて吉本夫婦や芸人らの頑張り、そして“せい”の弟林正之助の助けもあり、若さと勢いで次々と寄席を買収し、軌道に乗り始めます。
しかし、“好事、魔、多し”の諺とおり、突然、頼みの芸人たちが寄席に穴を空けだし・・・いったい、何が起こっているのかと吉兵衛、せい、正之助は奔走します・・・

以上が、前半のあらすじですが、あとの展開は、お芝居をご覧になってお愉しみ下さいませ。

そんな、ストーリーの舞台は、先ず、オープニングでは、賑やかな河内音頭に乗せて、長屋住まいの芸人たちが踊りながら客席通路に登場し、河内家菊水丸がストーリーテラーとして、歌に乗せて時代背景や登場人物を紹介していきます。

毎日が大騒ぎの芸人長屋や、そこへ越してきた若夫婦の貧しくも楽しげな暮らしぶり、そして「返してもらうまでは地獄まで追いかけまっせ！」と言いつつも、どこかコミカルで人情味溢れる“お銀さん”と芸人らのやりとりで、早くも観客は皆、芝居の世界に引き込まれていきます。

また、吉兵衛と“せい”の、若いおしどり夫婦ぶりは見ていてほほ笑ましいほどで、芸事が大好きでちょっぴり頼りない夫を、時にやさしく、時に叱咤して支える妻は、理想の夫婦像といえ、真っ直ぐな情熱で人を引き付ける“せい”と、酸いも甘いも知り尽くした粋な女“お銀”という正反対のふたりが見せる“真剣勝負”と“女の友情”も見どころの一つです。

さらに、舞台終盤には、亡くなった吉兵衛が“空を飛ぶ”という喜劇的な演出が、天国へ去る悲しい場面なのに、会場は笑いに包まれ、この人情味あふれるストーリーに笑って泣いて、心はほっこり。

お馴染みの“新喜劇”とは、またひと味もふた味も違うしっとりとしたエンディングに観客は皆、酔いしれて涙・・・涙・・・で幕を閉じましたが、フィナーレは、再び河内音頭が飛び出す賑やかな演出で“吉本流”もアピールし、鳴りやまぬ拍手の嵐に、再びカーテンコールで舞台に戻った出演者たちは、

「あと半分ですが、今日のように毎日“満員御礼”にしていただきたいので、5月6日まで二度、三度と誘い合って観に来て下さい！」と、この夜の超満員を感謝しながらも、まだまだ続くこのお芝居をしっかりと宣伝していました。

そして、お芝居を終えてのインタビューで、美伽さんは・・・「こんなに“くそババア”とか、“ごうつくババア”とか言われることはないし、普段の生活であんなに全力疾走することもないのですが・・・（笑）。でも、芝居のセリフじゃないけど、本当に真剣に、一生懸命やっているみんなです！」と熱く語っていました。


ところで、この“お銀さん”、一見、“鬼ババア”風でも実は、突き放しながら若い夫婦の“夢”をサポートする強く逞しい母親のような人柄で、“せい”の商才を認め、「女はな、賢うてこそ女やねン！」と啖呵を切る“なにわ女”の心意気は、まさに、美伽さんの賢さや優しさが際立つ素晴らしい“お銀”でした。

「なにもなかった、夢だけがあった」―吉本百年物語
そんな大坂に生まれ大阪が育てた吉本百年、12の物語の“第1話”「大将と御寮ンさん・二人の夢」は、5月6日まで大ヒット上演中ですから、どうか大坂にお住まいの方や、関西にお出かけの折には是非ともお出かけいただけますようよろしくお願い致します！

新しい料理の発見は、新しい星の発見よりも人類の幸せにいっそう貢献する。―ブリア・サヴァラン（フランスの食通家）

今回の大阪では、掲出の句、ブリア・サヴァラン氏の言葉のごとく、「発見の美味、驚きこその美味」と、まさに“美味礼賛”の美学を真摯に貫く森 義文シェフの世界を、北新地【カハラ】で魅せられ、【吉本百年物語】第1話の人情話に感動し、食と芸術の粋を愉しんで参りましたが、どうか連休前も『由美』＆『けんたうろす』をよろしくお願い致します。
尚、アメブロ「銀座由美ママの心意気」http://ameblo.jp/ginzayumimama/を毎日更新しておりますので、クラブ由美HP www.yumi-ito.comと合わせて是非ご覧下さいませ。